技術用語(金属用語解説・プラスチック用語解説)

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耐食性/corrosion resistance
腐食されにくい性質を耐食性が良いという。普通、鉄は“さび”やすく、ステンレス、アルミ、伸銅品は“さび”ないといわれるが全く腐食しないものはなく、腐食されにくいということである。腐食には金属組織や内部応力といった内的要因と、溶接や曲げ加工、表面処理などの加工要因、温度や湿度、酸、各種薬品、使用環境などによる外的要因があり、それぞれの要因に対してあるいは複合的に、耐食性が問われる。一般的には、オーステナイト系ステンレス、5000番系アルミニウム、青銅系が耐食性の良い材料とされるが、統合的には高Ni合金が優れているといえる。
体積弾性係数 K
水圧のように弾性体の全表面に一様な応力p(kgf/mm2)が作用する時に生ずる体積の変化ΔV(mm3)を、もとの体積V(mm3)で除したものを体積ひずみ(εv)という。一様な体積ひずみεvとの比を体積弾性係数といい、Kで表す。K=p/εv(kgf/mm2)
耐熱性/heat resistance
高温においても強度があり、酸化してもろくなりにくい性質のことを耐熱性が良いという。鋼ではSUH(耐熱鋼)として規格化されておりステンレスも同じ扱いで、耐熱用ステンレスSUHがある。非鉄金属にはこうした規格はないが、キュープロニッケル、アロイ400などCu、Ni合金などには耐熱性がある。アルミは融点が660℃であることから相対的に耐熱性には劣る。

耐疲労性

繰り返し荷重に耐える強度のことをいい、「疲れ強さ」で表わす。また疲れ強さを引張強さで割った比率を疲れ比という。
耐摩耗性/wear resistance
耐摩耗性は、硬さと密接な関係にあり、一般に硬度の高いものは耐摩耗性も高いといえる。耐摩耗性を改善するには、鋼の場合、C量を増やすかCr、W、Vなどの添加元素を入れる。熱処理や表面処理により表面硬度を上げる方法もとられる。軸受用(J)材料には耐摩耗性の高いものが使われている。
耐力/yield strength(proof stress)
多くの非鉄金属は降伏点を示さないため、降伏点のかわりに耐力という用語を使う。これは応力(荷重)を抜いても元に戻らず0.2%の永久伸びが生じたときの応力Wを試験前の材料片の断面積(mm2)Aoで割った値である。N/mm2(kgf/mm2)

縦弾性係数 E/modulus of elasticity

「ヤング率」ともいう。ゴムやバネは引張ったり変形させても力を加えるのを止めると元の形に戻る性質がある。これを弾性といい、この弾性の限界点=「弾性限度」に至るまでは荷重の増加に比例して伸びが発生する比例部分があり(フックの法則)、この限界点を比例限度という(弾性限度と比例限度は非常に近いところにある)。そして材料がフックの法則に従う時、比例限度内での垂直方向の荷重(応力σ)と伸び(ひずみε)の比例定数を縦弾性係数Eという。Eが大きい程、同じ荷重に対して伸びは小さくなる。E=σ/ε(kgf/mm2)
鍛造(F)/forging *自由鍛造(FH) *非鉄材料の標準的鍛造温度℃* *型鍛造 (FD) *熱間鍛造 *冷間鍛造
金属をたたいて成形することを鍛造という。小ロット品や単純形状、あるいは大物などは任意に方向や角度を変えて成形(たたく)する「自由鍛造(フリー鍛造):記号はFH(forging hand)」で作られ、金型を使って型打ちする「型鍛造:記号はFD(forging die)」は量産品や、複雑な形状、小物に利用される。また、高温に加熱して(鋼では800~1200℃)鍛造する「熱間鍛造」では均質でち密な鍛造組織が得られ、材料の靭性、耐食性を高める効果がある。また、冷間(常温)で行われる鍛造を「冷間鍛造」という。「冷間鍛造」は延性の良い材料に使用され、高強度で寸法精度の高い製品を作ることができる。
*非鉄材料の標準的鍛造温度℃*
アルミニウム 260~510
750~875
7/3黄銅 740~820
6/4黄銅 625~800
青銅 680~790
洋白 600~825
マグネシウム 232~482
亜鉛合金 175~300
ステンレス 930~1130
ダイキャスト/die casting
圧力を加えた溶湯を金型に注入して成形する代表的な鋳造法である。寸法精度がよく、鋳造肌にも機械仕上げと同程度に上がり、量産に適している。比較的融点の低い、亜鉛合金、アルミニウム合金、黄銅などの鋳造に使われる。

ダイセット

プレス加工における治具の一種で、抜き型や曲げ型のポンチとダイスをプレス機に取り付けるためのパンチホルダーと、台ホルダーの2枚以上のプレートと、支柱(ガイドポスト)から成っており、各種タイプが標準化されている。また、プレートは一般には鋼が使用されているが、S55Cと同等の強度を持つ高強度アルミ合金()が開発され、ダイセットのアルミ化が進んでいる。そのメリットは、軽量化、低温性、放熱性、耐食性、切削性が鋼に比べて良好なため、トータルコストダウンに役立つことである。
脱スケール
酸洗のことである。「酸洗」の項を参照のこと。

弾性/elasticity

輪ゴムやタイヤなどは、引張ったり力をかけると伸びたり変形したりするが、その荷重をなくせば、また元の形や位置に戻る。この様な性質を弾性という。反対に粘土の様に元に戻らない性質を塑性という。(弾性←→塑性)弾性を利用したものにハカリがあり、また板の曲げ加工時の「スプリングバック」はこの弾性によるものである。
弾性限度/elastic limit
ゴムやタイヤは引張ったり力をかけると伸び、普通は元に戻るが、ある限度を超えると、ゴムがたるみ完全には元に戻らない限界点がある。この時の荷重Wを、材料片の最初の断面積Aoで割った値を弾性限度という。 弾性限度=W/Ao(kgf/mm2)
断面係数
材料の断面の図心を通る軸に関する断面2次モーメントを軸から図形の周辺まで最大距離で割ったものをその軸についての断面係数という。
断面二次モーメント
ある平面図形とその面内の軸があるとして、その図面内の1点に微小面積をとり、そこから軸に垂直線を下した場合、その面積に軸からの距離の自乗を乗じた値を全体のものに対して断面2次モーメントという。

チェッカープレート
縞板のこと。「縞板」の項を参照のこと。
チッピング
刃こぼれ、小さな欠け。
中厚板
板厚が3.0ミリ~6.0ミリの板のことをいうが、厳密な定義はない。
鋳造/casting *ロストワックス法
金属を溶かして鋳型に流し込んで冷却、凝固したものが鋳物であり、この成形方法を鋳造という。中空品や、複雑な形状品を一挙に成形量産できる利点がある。砂型、ダイキャストが一般的であるが、特に精度の必要なものでもロストワックス(ろう型)法によって精密鋳造が可能である。一般に圧延品や鍛造品に比べて強度、靭性に劣る傾向があり、巣やピンホールが発生することもあるなどの弱点もあるが、実際には各種の対策がなされている。
超極薄板
板厚が0.1ミリ~0.25ミリの板のことをいうが、厳密な定義はない。

疲れ限度/fatigue limit *疲れ強さ/fatigue strange
金属を繰り返し折り曲げると、引張って切れるよりはるかに小さな力で破断する。これを疲れ破断と言う。鋼の場合は応力(荷重)が小さくなるに従って破壊にいたる繰り返し数が増えていき、応力がある程度以下になると繰り返し数をいくら多くしても材料は破壊されにくくなる。この限度を「疲れ限度」と言う。非鉄金属の場合は、この「疲れ限度」が明確に現れないため、応力(S)の繰り返し数(N)が1千万回(107)の繰り返しに耐える応力(So)を「疲れ強さ」と言い、Sokgf/mm2(107)と表示する。実際に金属を使用する際の強度比較数値として重要である。 参考:「S-N曲線」、「耐疲労性

低温脆性(ていおんぜいせい)
鋼は-20~-30℃で急激にもろくなる特性がある。これは特にりん(P)の成分の多い鋼種に多く現れる。またアルミニウムは、超低温範囲に至るまで低温脆性を示さない。

TIG溶接/tungsten inert gas arc welding

不活性ガス雰囲気中で、タングステン電極と母材との間に電流を使ってアークを発生させ、そのアーク熱により母材及び溶接棒を溶解して接合する方法で、アーク溶接の一種である。不活性ガスとしてはアルゴンやヘリウムが使われるため、アルゴン溶接と呼ばれることもある。箔や超薄板から厚板まで溶接でき、アルミ合金など非鉄金属からステンレス鋼や9%Ni鋼まで各種金属に幅広く適用できる。
展延性
金属の塑性(力を加えると元に戻らない性質)のことで、展(=ひろげる)延(=のばす)加工により薄板、箔、深絞りや線の製造に利用できる性質のこと。
テンションレベラー
引張矯正機。
転造
硬質のダイスを円筒形の素材に押しつけながら転がし、成形する加工法を転造といい、冷間転造が一般的である。ねじや歯車によく使われ、真中のローレット材などは転造品である。
電解研磨/electritic brightening
一般に食塩水や硝酸ナトリウム水溶液などの電解液中で加工物を陽極にし、陰極とすき間を作り加工物面を電解溶出させる研磨方法である。
電食/galvanic corrosion
電気化学的腐食のこと。「腐食」の項を参照のこと。

ドローベンチ
線、棒、管などを引抜くとき使用するダイスやドローヘッドを保持するスタンドをいう。