プラスチック用語解説

Products

プラスチック用語解説

アイゾット衝撃試験/Izod impact test
試験片の一端を固定し、振子式ハンマーで衝撃破壊した時の吸収エネルギー量を測定する試験法。切込みを入れる場合(ノッチ付)と入れない場合がある。強靭性の尺度として用いる。
圧縮降伏硬さ
圧縮試験において材料に圧縮荷重を加えたときの(圧縮降伏点)硬さ。
圧縮成形/compression molding
成形材料を金型のキャビティに入れ、一定時間高圧のもと加熱して成形する方法。主に熱硬化性樹脂成形に用いられ、直圧成形とも呼ばれる。
アニーリング/annealing
成形品に存在する残留応力を除去する目的で行なう熱処理。
安定剤/stabillizer
プラスチック加工時及び製品の使用期間中の劣化を防止するための物質。

入れ子/insert
キャビティやコアなどにはめ込まれる別部品。加工の難しい部分を入れ子にしたり、納期短縮のためにコアを分割して数台の機械で加工し、入れ子にして一体化したりする。
インサート成形/insert molding
プラスチック成形品に金属部品その他を埋め込む成形法。圧縮成形、トランスファ成形で応用例が多い。
インフレーション法/inflation molding
プラスチックフィルムの成形方法の一つで押出機で溶融した材料をチューブ状に押出し、この中に圧縮空気を送ってふくらませてフィルムを作る方法。この方法で作られたフィルムをインフレーションフィルムと呼ぶ。

ウェルド/weld
溶融樹脂の合流箇所でできる接合線で、外観及び強度的に欠陥となることがある。
打抜き/blanking
素材から所定の形状、寸法の平板を切り落としてそれを製品とする、外形抜きをする加工のこと。

FRP/fiberglass reinforced plastics

ガラス繊維などの強力な繊維を加えたプラスチックで、強度、剛性、耐熱性などの性質を向上させた複合材料。
エラストマー/elastomer
一般にゴム類のような弾性の顕著な高分子材料をいい、これに対しプラスチックのことを対比上プラストマー(plastomer)ということもある。
エンジニアリング・プラスチック/engineering plastics
工業部品やハウジングなどいわゆる工業用材料として用いられるプラスチックで強度、耐衝撃性、耐熱性、硬度、劣化性などに優れたプラスチック。中でも、PA、POM、PC、PBT、変性PPEが五大エンプラと呼ばれ工業用として多く用いられている。(略エンプラ)

押出し成形/extrusion molding
プラスチック成形材料を押出し機の中で加熱・可塑化させ流動状態にし、型から押出して成形する方法。

荷重たわみ温度/deflection temperature under load

熱変形温度ともいい、合成樹脂の耐熱性を評価する試験法の1つ。
試験法規格(試験法は ASTM D648、JIS 7191)で決められた荷重を与え、試料の温度を上げていき、たわみの大きさが一定の値になる温度で求めるが、曲げ弾性率が 2,514 kgf/cm2 =0.25 GPa または 10,000 kgf/cm2=1GPaになる温度で表す。
可塑剤/plasticizer
プラスチックに混ぜて製品に柔軟性を付与するために加えられる液状又は固体状の物質。
カレンダー加工
2~4本の熱ロールを組合せ一定の厚さに連続して圧延し、フィルムやシート状に成形する加工方法。
ガラス繊維強化グレード
ガラスを繊維化したものを混入させ、強度を増したもの。

キャビティ/cavity
成形品が形成される雌型と雄型の間の空間のこと。特に雌型の彫刻面をいうこともある。
強化プラスチック/reinforced plastics
FRP」の項を参照のこと。プラスチックが熱硬化性プラスチックの時はFRP、熱可塑性プラスチックの時は、FRTP(TPはThermo Plasticsの略)という。

ゲート/gate
金型のキャビティに樹脂材料を注入する入口のことで、湯口ともいう。
結晶性プラスチック/crystalline plastics
分子鎖が規則正しく配列された状態を結晶領域といい、この結晶領域の量の比率が高いもの(結晶化度の高いもの)をいう。PE,PP,PA,POM,PETなどが代表的な種類である。

コア/core
金型の可動側の製品部のこと。金型の製品部はキャビティとコアで構成される。一般にコアは成型品の裏側になり、突出し機構を備えている。
硬化剤/hardener
熱硬化性樹脂を硬化させる薬品のこと。
剛性/stiffness
曲げやねじりに対する抵抗度。プラスチックでは曲げ弾性率の大きいものが剛性が大きいという。
コポリマー/copolymer
2種類以上の異なったモノマー(単量体)を混合して重合することを共重合(copolymerization)といい、これによって得られた生成物のことをいう。共重合体とも呼ばれる。
コンパウンド/compound
プラスチックの用途に応じて充填材、可塑剤、着色剤、安定剤などを混合して成形に適するようにつくられた材料のこと。

ざらつき摩耗
2つの摺動面に硬度の高い微粒子がはさまって、研削材のように相手表面を掘り起こし摩耗することをいう。これは、塵や疲労現象を起こして剥離する疲れ摩耗粉、相手金属に見られる酸化・腐食摩耗粉などが原因と考えられる。

射出成形/injection molding
成形材料をシリンダー内で加熱して溶かし、閉じた金型の中に高圧注入し固化させることにより成形品を作る方法。
ショートショット/short shot
射出成形又は圧縮成形において成形材料が金型キャビティのすみずみまで行きわたらず、キャビティを完全に充填しきれない現象をいう。原因としては、成形条件によるもの及び金型の原因によるものなどが考えられる。
衝撃強さ/impact strength
曲げの荷重によって材料が破断するのに要するエネルギーを断面積で除した値で、kgf・cm/cm2の単位で示す。一般にこの値の小さい材料ほど脆い。
真空成形/vacuum molding
プラスチックフィルムやプラスチックシートなどを型の上にのせ、シートと型の間を真空にして型に圧着させて成形する方法。
自己消火性/self-extinguishing
炎に接すると燃えるが、炎を取り除いたとき自然に消火する性質のこと。自消性とも言われる。
充填材/filler
強さ、耐久性、作業性その他の性能を改善するため、又は価格を下げるためのプラスチックに加える比較的不活性な固体材料。

スーパーエンプラ
汎用のエンプラより、特に耐熱性が150℃以上あり通常のエンプラ同様に機械部品に適用可能なもの、あるいは特殊な機能を持っており、ある限定された用途に多く使用されているものをいうが、エンプラとの明確な区別はない。
ストレスクラッキング/environmental stress cracking
高分子材料が応力をうけている状態、または成形加工時のひずみが残留している状態で薬品類に接触するなど、ある種の雰囲気中におくと亀裂が生じたり、通常の大気中に比べ亀裂の発生が著しく促進されたりする。この様に外的環境によって応力下に起こる亀裂のことをいう。

積層品/laminate
1種あるいは2種以上の物質の薄板、シート又はフィルムを2枚以上貼り合わせ接着した製品で、ラミネートとも呼ばれる。紙、布、ガラス布などの基材に合成樹脂を含浸させた積層材料を金属板間又は金型中にて加圧、加熱して硬化させ一体成形品を作るものが広範に使用されている。その形状により、積層板、積層棒、積層管、一般積品及びラミネート紙がある。
脆化(ぜいか)温度/brittlness temperature
高分子材料は、その材料に特有な二次転移温度以上でも急激に外力を受けると破壊する。この現象を脆化といい、その時の温度を脆化温度という。二次転移温度は測定が困難なため、工学的には脆化温度が耐寒性の目安とされていることが多い。
絶縁抵抗/insulation resistance
絶縁体に電圧を加えたとき絶縁体の示す電気抵抗で普通絶縁された送電線、電気機械の巻線などに対し、これと地表との間に存在する電気抵抗をいい、オーム(Ω)又はメガオーム(MΩ)の単位で示す。
絶縁破壊強さ/dielectric strength
絶縁が破壊されるまでに要した電圧を試料の単位厚さで除した値で、一般にはKV/ミリの単位で示す。
接着剤/bonding agent
2つの物体を離れないように接合するために、その両物体の間に介在させる物質をいう。天然物質のデンプン系、タンパク質系、樹脂系、瀝青系など、また合成物質の熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、合成ゴム系、これらの混合型などがある。

塑性変形/plastic deformation
弾性限界を超えた外力を加えた後に残る永久歪のこと。
ソルベントクラック/solvent cracking
材料に対して無荷重(無応力、無ストレス)ではほとんど影響を及ぼさない薬品でも、応力が内部または外部に存在した場合、その応力との相互作用により材料の成形品表面にクラックを生じさせる。このクラックのことをソルベントクラックといい、耐薬品性の物性として重要な性質である。

体積抵抗率/volume resistivity
絶縁物の内部に1cmの立方体を考え、その相対する両面間に電圧を加えた場合の両面間の電気抵抗をいい、Ω・cmの単位で示す。
弾性変形/elastic deformation
物体に応力を加えた時におこる全変形のうち、応力を取り除くと直ちに復元する部分のこと。

着色剤/coloring agent
成形品や塗膜に一定の色彩を与えるために用いる染料及び顔料の総称。
超音波溶接/ultrasonic welding
熱可塑性プラスチック製品の溶接部に超音波をあて、そのエネルギーによって発熱させて溶接する。

転移温度/transition temperature
物質の性質が非連続的に変化する温度をいう、一次転移温度及びガラス転移温度(二次転移温度)がある。

透過性/permeability
液体又はガス体が透過し得る固体の性質をいう。一般に物体に対するガスの透過性は、一定温度において単位面積、単位時間及び単位厚さに対して透過するガス量により示される。水蒸気の透過性をとくに透湿性という。
透明性/transparency
可視光線を通す性質をいい、光の透過率の程度により、他に半透明性及び不透明性の別がある。
トランスファー成形/transfer molding
熱硬化樹脂に用いる成型法で、加熱室に成形材料を入れて溶かし、金型のキャビティに移送して成形する方法。
トリミング/trimming
1.成形品にできるバリを取り除くこと。 2.フィルム・シートなどの両端の耳部分にある厚さなど不整部分を取り除くこと。

二軸延伸フィルム/biaxial stretched film
フィルムやシートを一方向にのみ延伸すると強度又は伸びに方向性を生じ、一般に実用性を損なうことが多いために、特にフィルムにおいて直角2方向に延伸し、釣合いが取れ、強度向上を求めたものが得られる。この方法を二軸延伸といい、この方法で作られたフィルムは、二軸延伸フィルムと総称される。

熱可塑性樹脂/thermoplastics
加熱すると軟化して可塑性を示し、冷却すると固化するプラスチックを総称していう。
熱硬化性樹脂/thermosetting resin
熱や触媒により硬化する樹脂のことで、代表的なものにフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などがある。
熱変形温度/deflection temperature under load
荷重たわみ温度」の項を参照こと。

ノッチ効果/notch effect
穴・ミゾがある材料に応力を加えると、その集中効果によって強さが低下する効果のこと。

汎用樹脂
価格が安く、加工もしやすい熱可塑性プラスチックのこと。中でも、PE,PP,PVC,PSが四大汎用樹脂と呼ばれている。
パーティングライン/parting line
金型の雌型と雄型の分割面やおも型とサイドコアの分割面のこと。PLと略す。
パリソン/parison
ブロー成型でふくらませる前の筒状の成型材料のこと。

ヒケ/sink mark
成形品の表面に生じるくぼみのことで、肉厚の厚い成形品や肉厚に不同のある成形品で発生しやすい。これは、厚肉品では外面は早く冷却され、内部は冷却連鎖が遅くなるアンバランスが原因となる。
非結晶性プラスチック/non-crystalline plastics
結晶化状態になり得ないか、結晶化してもその結晶化度が極めて低い高分子物をいう。分子の配列が一定しない状態であるため、無定形高分子又はアモルファスポリマーと呼ばれている。PS,PVC,ABS樹脂,メタクリル樹脂などは非結晶性樹脂に属する。
引張降伏強さ
引張りの状態で破損する前に材料によって耐えられる最大応力。その最大応力が降伏点において発生する時の強さのこと。
引張破断強さ
引張りの状態で破損する前に材料によって耐えられる最大応力。その最大応力が破断点において発生する時の強さのこと。

フローマーク/flow mark
射出成形において、溶融材料の流れの経路が成形品の面に残り縞状や波状の外観上の欠点となる模様のこと。
ブロー成型/blow molding
押出機から成形材料をチューブ状に押出し(パリソン)、これを中空の金型内に入れ内部に空気を吹き込んで膨らませると同時に冷却して中空の成形品を造る方法。中空成形とも呼ばれる。一般には、瓶などの容器類に多く用いられ、その他に自動車部品などの工業部品や玩具などにも利用されている。

変色/discoloration
光・熱・屋外暴露・化学薬品などによって色が変わること。
ペレット/pellet
直径または一辺が2~3ミリ位の小さい一定の円柱形または角柱に造粒した成形材料をいう。

ホモポリマー/homopolymer
一般には共重合体(copolymer)に対する単独の重合体の意味で、単一種類の単量体から得られる重合体を指すことが多い。
ボイド/void
成形品の内部にできた空洞のことで、巣ともいう。発生原因としてはヒケと同じであり、成形品の外面に現れる収縮歪がヒケであり、内面に発生するのがボイド(空洞)である。
ポリマー/polymer
「ポリ」は多数、「マー」は高分子を形成する繰返し単位のこと。ポリマーとは多数の繰返し単位の低分子化合物からなる重合体のこと。
ポリマーアロイ/polymer alloy
高分子を2種類以上含んだ相互作用の強い高分子多成分系の総称。ポリマーアロイとしては、異種ポリマーをブレンドしたもの、異種ポリマーを化学的に結合したブロック共重合体、グラフト共重合体、異種ポリマー同士の水素結合や疏水結合で連なったポリマーコンプレックス、異種ポリマー同士の網状構造が絡み合った相互貫入高分子網目(IPN)がある。

曲げ強さ/bending strength
曲げ荷重によって破断する場合の最大応力をいい、kg/mm2の単位で示す。

モノマー/monomer
付加反応(付加重合)によって重合体を生成する単位物質。例えば重合に用いられるブタジエン、スチレン、アクリルニトリル、エチレン、塩化ビニルなどをいい、一例としてエチレン(monomer)が重合してポリエチレン(polymer)になる。単量体ともいう。

溶接/welding
熱可塑性プラスチック成形物の2片を加熱によって接合すること。熱風溶接、熱板溶接、高周波溶接などの方法があり、同時に加圧することもある。

離型剤/mold release
金型により成形した製品を金型から押出せるように成形前に金型表面に塗る塗布剤のこと。焼付き防止、摩擦係数の低下、金型の冷却などを目的として使用され、希釈に水を用いる水溶性と灯油を用いる油性とに分けられる。
RIM成形/reaction injection molding
反応射出成形のこと。反応性のある2種類以上の原料の液体を計量してから、混合室の中で混合し、金型内に送り込んで反応させて成形品を製造する方法。代表的なものにナイロンRIM,ウレタンRIM,エポキシRIMなどがある。

劣化/degradation
高分子物質が加熱されたり光や風雨にさらされた時に、変色・亀裂が起こるなど、物理的・化学的物性が低下する性質をいう。